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YASUの呟き No. 18

ヤスが愛した札幌の店

 10年近く過ごした札幌。様々な機会に色々な方と杯を酌み交わした。その思い出は、僕の人生の財産になっている。札幌は個性的な店が多く、とても豊かな時間を味わうことができた。僕が愛した素晴らしい店の数々、そしてそこで遭遇した個性的な人々。ああ別れが辛い。

1)とりきん

 地下鉄北34条駅、4番出口を出て徒歩5秒。この店の焼き鳥と日本酒は本当に素晴らしい。数年前に甥っ子さんに店の経営を譲り、今は半隠居されているが、ここの大将がいい味を出している。いつも大将のお勧めの日本酒を楽しんだが、おいしくて、ついつい度を超してしまうことも度々(毎回)だった。札幌においてレベルの高い日本酒を供する草分け的存在であり、今なお、日本酒のレベルは、とても高い。カウンター数席とテーブル席が2つ。場末感が漂う店の雰囲気が、なんともたまらなく大好きだ。とりきんでもらった「而今」の前掛けは僕の宝物である。

2)円山壇

 飲み友達の芳賀先生と、1次会飲み後の雨宿りで、たまたま見つけた名店。趣を凝らした和食ベースの料理の数々は、素晴らしいの一言。また、美人双子姉妹のドS的な接待も興が深い(僕はMではない、と思う)。「三千円くらいで美味しいワインをお願いします」と聞くと、「三千円では美味しいワインはありません」と答える。白ワインをオーダーしたのに、赤ワインが供されたこともあったなあ。素晴らしい料理の数々とレベルの高いワインと接客。特別な時が流れている。

3)塩ジンギスカン:八仙大通り店

 通常のジンギスカンではなく、塩ベースの味付けをしたラム肉を炭火で焼くスタイル。男っぷりのいい大将が絶妙の味付けをしたラム肉は、癖が全くなく、柔らかく、美味いことこの上ない。「八仙」という店の名前がついた焼酎をお湯わりで飲みながら、ラム肉や金華豚肩ロースを何回味わったことか数え切れない。札幌でこの店の塩ジンギスカンを食べ逃すことのないように。

4)喜文字

 市電「中島公園通」駅下車、目の前。なんとも怪しいイルミネーションが初見の客を阻む。勇気を出して店に足を踏み入れると、岸和田出身の大阪人の大将が(機嫌がいい時は)陽気に迎えてくれる(ちなみに、僕が初めて訪れた時は、「あんた、誰や?」と聞かれた)。焼肉屋兼お好み焼き屋。この店のお好み焼きは札幌で一番美味いと思う。でも、この店の魅力は何と言っても、大将(おっちゃん)。おっちゃんが次々と繰り出してくる大阪のボケジョークに突っ込むだけでも忙しくて大変だ。焼肉、豚平焼き、お好み焼きと(北海道名産の)行者ニンニクを漬け込んだ焼酎を味わいながら、大将と人生を語る(おっちゃんの人生訓を拝聴する)。何とも言えないディープな時間が流れていく。また、おっちゃんに連れて行ってもらったワカサギ釣りの寒さ・楽しさ、そして、帰ってから店でおっちゃんが揚げてくれたワカサギの美味しさを忘れることができない。

5)フィッシュアパートメント(Phish Apartment)

 飲み友達(先輩)のグルメな竹田先生に連れていってもらったススキノの隠れ家的名店。一見さんお断りなので、ヤスの知り合いは「元北大の藤田先生に薦められて」と言って予約するといいでしょう(御一報をお願いします)。コース5−6品の料理それぞれに合わせてグラスワインが付いてくる(最終的にかなりの量のワインを飲むことができる)。タイ人様風貌の個性的なマスターの繊細で独創性に溢れた料理は、「美味い」の一言。ススキノの奥深さを感じることのできる名店。

6)烝怜家

 ここも竹田先生の紹介。ススキノの東端にある寿司屋。人当たりの優しい穏やかな大将がきっちりと仕事をして、レベルの高い寿司を供してくれる。カウンター7席。いつも混み合っていて、なかなか入ることができないのが難点。特筆すべきが、この店の狭さ。席と後ろの壁にほとんどスペースがないため、奥の客が店を出る時、あるいは手前の客が奥のトイレに行く時には、店の客が全員一旦店の外に出る必要がある。また、左右の席が近いことから、隣のお客さんと会話を楽しむことが度々。この店での人との出会いは、まさに邂逅であった。店の独特の雰囲気とともに、出会った個性的な人々を忘れることができない。

7)麺屋169

 自宅近くの南16条西9丁目にあるラーメン屋。無化調で奥深く優しいスープに魅せられて、週末に通い続けた。ミシュランガイドにも掲載。元和食職人だったマスターが、丁寧に作るラーメンは極上の美味しさ。芳醇醤油そばや煮干しそばを毎週食べ続けた。素晴らしいラーメンを本当にありがとうございました。僕は、169のお陰で幸福の余韻に包まれた週末を過ごすことができました。

 上に挙げた以外でも、邦寿し、セルクル、てんぐの蔵、どらちゃん、味百仙、など思い出の店は枚挙に尽きない。札幌のこれらの店で過ごした豊かな時間を胸に抱いてこれからの人生を生きて行こう。 ヤス行きつけのお店の皆様、本当にありがとうございました!近い将来、札幌出張の折に、再び訪れる時を心から楽しみにしています。またその日まで! さて、これからは京都の店の探索だ!

updated : 2020/5/07